冬の乾燥から、脱水が起こる第一の理由は、 カラダの周囲の環境(外的環境)の変化。 そのもっとも大きな要因は冬の気候(低湿度=乾燥)です。 湿度が下がると知らない間に失われる水分が増えてきます。 屋外よりも室内の方が湿度は下がりやすいから要注意です。
冬の乾燥が起こるもう一つの背景には、カラダ内部の環境(内的環境)の変化も挙げられます。 脱水に対する警戒感が下がっているため、飲み物と食べ物から摂る水分が減少することで、脱水のリスクが高まることがあります。
外的環境
①湿度が下がるとカラダから水分が失われます
外気が乾燥すると、知らない間にカラダから水分が失われやすくなります。それは不感蒸泄が増えるからです。
不感蒸泄とは、皮膚、粘膜、呼気などから意識しないうちに失っている水分のこと。皮膚や粘膜から失われるのが全体の約80%、呼気から失われるのが残りの約20%だと言われています。気候が乾燥すると、皮膚、粘膜、呼気のいずれからも失われる水分が増えます。
②冬の室内では水分はさらに失われやすくなります
一つは暖房器具(コタツ、ストーブ、エアコン)の使用です。
もう一つは住宅の気密性が向上したこと。気密性が上がると空気の出入りが少なくなり、外気の取り込みなどで加湿するチャンスが減ります。また、気密性が高い住まいで暖房器具を使うと、外気との温度差が広がり、結露が生じやすくなります。結露を嫌い、加湿器の使用を控えると余計に湿度は下がり、不感蒸泄はますます増えてきます。
内的環境
①汗を意識しない冬は、脱水に対する警戒感が下がります
冬に増加する不感蒸泄は、自分では意識しないうちに起きています。つまり知らない間に水分が失われるのが、冬のジンワリ乾燥からの脱水の最大の特徴なのです。
夏の「かくれ脱水」の多くは発汗が引き金です。発汗は意識しやすいのに、不感蒸泄は意識しにくいので、冬は脱水に対する警戒感が下がっています。
四季を問わず、高齢者や乳幼児、何らかの持病がある方は「脱水症」の高リスク者です。これらの高リスク者は冬に警戒感が下がって油断すると脱水状態に陥りやすくなります
②冬場に水分摂取を減らすと危険です
私たちは、カラダに入る水分の約半分(一日1,200mℓ)を飲み物から摂取しています。
暑い季節に汗をかくと自然に飲み物を求めますが、冬は汗をかきにくいため、発汗時に飲み物から水分を摂る機会が少なくなります。
さらに寒くなって「カラダを冷やしたくない」という理由から、飲み水の摂取を控えることもあります。とくに高齢者や乳幼児、何らかの持病がある方といった「脱水症」の高リスク者は、こうした状況を続けると脱水状態になりやすいと考えてください。