Q.  お米は健康的な食品なの?
A.  結論から言うと、答えはYesであり、Noであると言えます。

今日、米を食べるべきか否かについて、いろいろと議論がなされています。パレオダイエットの人たちは、穀物は原始の時代になかった不自然な食べ物だから、すべての人がグレインフリー(穀物抜き)であるべきだというし、東洋医学やビーガンの人たちは、米は素晴らしいスーパーフードであると言います。
しかし、それはその人の体質・目標にもよると思うし、それよりも、米を食べる際の下準備をちゃんとするかどうかによって、米が健康的な食品になるかどうかが決まると思います。
どちらにしろ、議論の余地なく完全に避けるべき米は「精製された白米」です。この場合の白米は、ジャスミンライスやバズマティライス(インドの米)のことではなくて、アミロペクチン(糖質)の多い 短粒種・ジャポニカ米のことです。それは、食物繊維もビタミン・ミネラルも、すでにそぎ落とされています。また研究では、白米は糖質がむき出しで血糖値を急激に上げるために、玄米を食べる人たちよりも、糖尿病になる確率が二倍になることが分かっています。
また、米のもう一つのデメリットは、これはどんな穀類、豆類にも言えることですが、「フィチン酸」を含んでいることです。それが米に密度や硬さを持たせているのですが、それはミネラル・ブロッカーや酵素阻害剤として作用し、体がビタミン・ミネラルを吸収するのを妨げるのです。
また、米にも小麦のグルテンのように、体が吸収しにくいタイプのたんぱく質が含まれています。
以上が米のマイナス点ですが、では今度はプラスの面について話しましょう。
この場合は玄米や古代米についてですが、それらにはナイアシンと言われるビタミンB3が豊富に含まれています。それは、心臓や血管系の健康に非常に大切な栄養です。またセレン(セレニウム)もたくさん入っています。セレンは甲状腺や腎臓をサポートする、体に不可欠な必須ミネラルです。また、米にはGABA(ギャバ)と呼ばれるものが入っています。それは、脳をサポートする神経伝達物質で、不安を軽減したり眠りを改善したり、また新陳代謝も高めてくれます。
ということで、この場合米はスーパーフードであると言えます。
ここで、「米は健康的か?」という質問に戻りますが、それは米の下準備に関係 してきます。
米を水に浸けて発芽させると、それがフィチン酸の働きをオフにして、ビタミン・ミネラルをすべて解き放ってくれます。また、水に12時間以上浸けることで、人体細胞のミトコンドリアに毒である発芽抑制因子「アブシジン酸」ABAを不活性化することが出来ます。 そこで初めて、米は健康的なものとなるのです。
また米が発芽状態になる過程で、その内部の構造に劇的な変化が生じ、栄養価は最高に、また体にとっても消化に易しい形になります。そしてうれしいことに、お味も玄米特有のあのパサパサ感がなくなり、もちっとしたよい美味しい味になります。
ですから、お年寄りは消化が悪いので玄米より白米を食べたほうがいいとか、玄米採食の人は肌がガサガサになるとか言いますが、こ の工程をすれば問題がなくなるはずです。(玄米採食の人は、それだけでなくその他の摂れていない栄養素もサプリなどで補う必要がありますが)
ここで、じゃあ売っている発芽玄米を買えばいいのね、と言われると、そう簡単でもなくて、あれは発芽したものを販売・流通するために一旦完全に乾燥させて、それ以上生育しないように薬品で止めているので、値段が高い割には体に良いとは言えません。一番いいのは、家で自分で作ることです。
無農薬か低農薬の玄米をぬるま湯に1~2日間浸して、発芽したかしないかの状態のものを炊くとよいでしょう。(水は時々替えてやる)
しかし私は、個人的にはパレオ寄りの考え方だし、米を食べるとどうも腸の動きが滞る感じがして玄米でも太りやすいため、なるべく米は食べないで穀類以外のものから栄養を摂るようにしています。でも、痩せすぎてもうちょっと太りたいとか、どうしてもベジタリアンでいきたい人には玄米や雑穀はOK食品でしょう。